がん再発とは
がんの再発とは、手術により肉眼的に取り切れた後に潜んでいたがん病変が出現したり、さまざまな治療により一旦縮小し確認できなくなったがん病変が再び大きくなる状態をいう。がんの再発は以下のようなメカニズムで起こると考えられている。
- 微小病変の残存: 初期の治療で完全に取り除けなかったがん細胞が残ることがあり、これらの微小な病変は、再び成長して再発を引き起こす場合がある。
- 治療抵抗性細胞: がん細胞の中には、治療に抵抗性を持つものが存在することがある。こうした細胞が治療後も生き残り、後に増殖して再発を引き起こすことがある。
がんの再発は、生じる場所によって以下の3つに分かれる。
局所再発:最初のがんと同じ場所、またはごく近くに再発が現れたもの。
領域再発:最初のがん発生場所の近くのリンパ節、または周辺組織で再発したもの。
遠隔再発:最初のがんの発生場所から離れた臓器で再発したもの。転移再発ともいう。
がん再発の割合
一般的にがんの進行度(Stage)が進むほど再発率も高まる。例えば、診療ガイドラインでデータが公開されている大腸がんの再発率は以下の通りである。
進行度 | StageⅠ | StageⅡ | StageⅢ | 全体 |
再発率 | 5.7% | 15.0% | 31.8% | 18.7% |
再発・転移がんは治癒が困難となることも多く、がん完治を目指すにあたって再発を予防することが重要な治療戦略となる。
再発予防治療について
がんは一般的に5年間(乳がんなどは10年間)再発がなければ完治と見なされる場合が多い。がんの種類や性質、治療の経過などから、再発のしやすさや再発部位についてある程度予測が可能である。がんの進行度や病理診断検査などを参考に、根治手術など初期治療終了後に再発の可能性があると判断される場合には、がん完治を目的として、再発予防のための術後補助療法を行うことがある。
再発予防の主な術後補助療法としては、さまざまながんが対象となる術後化学療法や、放射線治療の術後照射、ホルモン依存性がんを対象とした術後ホルモン療法などがある。