杜仲

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素材情報：杜仲とは？

杜仲は、20年程度で高さが20mにも達する落葉高木で、雌花をつける株と雄花をつける株の区別がある雌雄異株（しゆういしゅ）の樹木です。トチュウ目トチュウ科を構成する唯一の種で、現在は中国原産の1種類しか存在していません。

実は、杜仲が最も繁殖していたのは、恐竜時代末期の6千万年前頃から6百万年前のこと。その当時には多くの地域で、いろいろな種類の杜仲が存在していたようで、中央ヨーロッパ、北米、そして日本と、世界の各地で杜仲の化石が見つかっています。恐竜さえも絶滅した氷河期に杜仲の木も大きな打撃を受け、生き伸びたのは１種類だけ。今、私たちが目にしている杜仲は、そのような果てしない過去から現在に至るまで、力強く生命をつないできたたくましい植物なのです。このような経緯から、杜仲は「現代の生きた化石植物」とも呼ばれています。

■杜仲は中国五大漢方の1つ

杜仲の樹皮は、五大漢方薬*の1つとして古くから降圧、利尿、強壮、鎮痛のために使われてきました。16世紀末に記された中国の薬学書『本草綱目（ほんぞうこうもく）』にも、その効力や用法が記載されている由緒正しい漢方薬です。さらに時代をさかのぼる中国最古の薬物学書『神農本草経（しんのうほんぞうきょう）』にもすでに登場しており、「無毒で、たくさん服用しても、長く飲み続けても、人の体をそこなわない」安全な上級の薬草に分類されています。また、近年その葉にも樹皮と同じ成分が含まれることが報告されています。

*五大漢方は、杜仲、芍薬、鹿茸、人参、冬虫夏草

日本における樹皮の記録は古く、中国より渡来したものが遣唐使の取り扱った木簡や正倉院の薬物保管庫から発見されています。その後、平安時代以降は記述がなく忘れ去られたと考えられていますが、江戸時代には、伊那塩沢家に薬用酒の原料として使用されたという記録が残っています。その後、1899年と1914年に日本軍がトチュウゴム採集目的で導入し、林野庁の外国樹見本園に植栽されています。現在ではその頃に植栽されたものが小根山演習林（現：群馬県野鳥の森小根山森林公園）に残っており20m以上の巨木に成長しています。

■杜仲葉の健康効果に着目

一方で、杜仲の葉は漢方薬ではありませんが、「本草綱目」に葉を「野菜として食する」という記載があることから、普段の健康維持のために食用されていたと考えられます。日本では1980年代に葉を焙煎により茶用とした「杜仲茶」が考案されました。「杜仲茶」は、高めの血圧を下げる働き、血管のしなやかさを維持する働きなどが期待されており、健康茶として親しまれています。
小林製薬では、杜仲茶やその原料となる杜仲葉に着目し、その健康効果や作用メカニズムについての研究を進めています。

T. Hirata et al. (2014). The Chemistry and Bioactivity of Eucommia ulmoides Oliver Leaves. Studies in Natural Products Chemistry 41: 225-260.

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