杜仲葉:血圧に対する有効性
ヒトを対象とした杜仲葉の降圧効果研究
概要
近年、動物実験や人を対象とした研究によって、杜仲葉から抽出された杜仲葉配糖体に血圧を下げる効果があることが確認されています。今回、高血圧症の被検者に杜仲葉配糖体を含有する飲料を摂取いただき、血圧を下げる作用とその安全性について検討しました。被検者を2グループに分け、それぞれに杜仲葉配糖体を含む杜仲飲料とプラセボ飲料を経口摂取いただいたところ、杜仲飲料を摂取したグループでは対象グループに比べて血圧が優位に低下し、また安全性にも問題は見られませんでした。
試験方法
項目 | 内容 |
対象 | 正常高値血圧および軽症高血圧 (血圧値;収縮期血圧130-159 mmHg、拡張期血圧85-99 mmHg)に該当する高血圧症者(40〜60歳代の男女)85名 |
試験品 | 杜仲飲料(1本50 ml 杜仲葉配糖体を1.0 g以上配合)、およびプラセボ飲料を使用 |
方法 | 【二重盲検並行群間比較試験】 被検者を血圧や年齢などが平均化するように2グループに分け、試験群(41名)は杜仲飲料を、対照群(44名)はプラセボ飲料を毎日朝食後に12週間に渡り摂取。それまでの食生活、喫煙量および運動などの日常生活を変えることのないように指示。 |
試験スケジュール | 前観察(非摂取)期間2週間、摂取期間12週間、後観察(非摂取)期間4週間の合計18週間 |
評価項目 | 収縮期血圧、拡張期血圧 血圧、脈拍数、体重、身長、血液検査、尿検査 |
試験結果
正常高値血圧者では、杜仲飲料摂取後に血圧の有意な低下が見られ、プラセボ群と比較しても有意な低下が認められました。軽症高血圧者では、杜仲飲料摂取後に有意な血圧の降下が認められました。プラセボ群との比較では、収縮期血圧については有意な低値を示しましたが、一方で拡張期血圧については、両群間での有意な差は認められませんでした。
また、その他の測定項目で、安全性に問題がある異常変動は認められませんでした。
考察
杜仲葉配糖体配合飲料が、正常高値血圧者および軽症高血圧者に対して、収縮期血圧および拡張期血圧を下げる効果を有することが示されました。また、12週間の長期摂取においても、その安全性が示されたことから、正常高値および軽症高血圧者の健康維持に有用な食品であることが示されました。
ラットを用いた過去の研究では、杜仲葉配糖体の主成分であるゲニポシド酸が降圧を示すことを明らかにしており、このゲニポシド酸が降圧の主要成分であると報告しています。本試験では、ゲニポシド酸に関する検査は行っておりませんが、この作用機序が血圧の低下に関与したものと推察されます。
T. Hirata et al. (2014). The Chemistry and Bioactivity of Eucommia ulmoides Oliver Leaves. Studies in Natural Products Chemistry 41: 225-260.
ゲニポシド酸の降圧メカニズムについて
杜仲葉の成分であるゲニポシド酸(GEA)は、高血圧や炎症、糖尿病などに効果があるとされています。雄の自然発症高血圧のラットを用いてゲニポシド酸を投与した研究(Kozo Nakamura , et al.: Journal of Functional Foods 40 (2018) 634–638)では、投与後にラットの血中ANPが増加したことが報告されています。
ANP(atrial natriuretic peptide) 心房性Na利尿ペプチドとは、血管拡張作用、ナトリウム利尿作用などをもつホルモンです。
学術情報
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