CTL(細胞傷害性T細胞)とは
細胞表面にCD8という分子を持つT細胞の1種で、異常細胞(がん細胞、ウイルス感染細胞など)を認識し、直接的に攻撃し、排除する免疫細胞。標的細胞表面のMHCクラスⅠ分子に提示される抗原ペプチドを認識して、特異的に細胞傷害性を示す。
CTL(細胞傷害性T細胞)のがん細胞への働き
CTLは獲得免疫の仕組みにより、がん細胞を認識して特異的に攻撃・殺傷する能力を有している。細胞死などによってがん細胞から放出されたがん抗原を、抗原提示細胞である樹状細胞が取り込み、その情報をT細胞(ナイーブCD8陽性T細胞)に伝達する。それによりナイーブなT細胞はがん抗原を認識、活性化してCTL となる。
CTLは、IFN-γ(インターフェロンガンマ)に加えてグランザイムやパーフォリンなどの細胞傷害顆粒を放出して、がん細胞を殺傷する。このように、CTLはがんを直接攻撃・排除する中心的な細胞として重要な役割を果たしているが、がんが自らを守るために形成したがん微小環境では、TGF-β、IL-10などの抑制性サイトカインや制御性T細胞(Treg)、免疫チェックポイント分子などによってCTLの働きが抑えられてしまうことが知られている。がん治療の効果を高めるためには、CTLが効果的に働けるよう免疫抑制の解除が重要とされ、そのひとつとして免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬によるCTL再活性化が挙げられる。
【図】CTL(細胞傷害性T細胞)ががん細胞を攻撃するしくみ