研究用語辞典

IL-10(インターロイキン10)

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

IL-10(インターロイキン10)とは?

IL-10は、T細胞、樹状細胞(DC)、NKT細胞、マクロファージ、制御性T細胞(Treg)など、自然免疫や獲得免疫の双方に関わるさまざまな免疫細胞から産生されるサイトカインの一種。サイトカインの働きには、免疫機能を活性化させるもの、抑制的に働くものがあるが、IL-10はTGF-βなどとともに、抑制性のサイトカインとして知られている。構造的な類似性や受容体の特徴から、IL-19、20、22、24、26、28A、28B、29を含む9つがIL-10ファミリーとして同定されている。

IL-10(インターロイキン10)の働き

IL-10は、IFN-γなどの炎症系サイトカインの産生を抑制し、樹状細胞に対しては抗原提示能を低下させる作用を持つ抑制性サイトカインである。また、制御性T細胞(Treg)の分化・増殖を促進することで、T細胞の増殖や活性化を制御するなど、過剰な免疫反応を調整する役割を果たしている。自己免疫疾患モデルマウスのIL-10を欠損させると病態が悪化することや、IL-10ノックアウトマウスでは炎症性大腸炎を自然発生することなどが分かっている。

参考文献
  • サイトカイン・増殖因子 キーワード辞典. 羊土社, 2015. P74-77
  • 村上正晃. 別冊医学のあゆみ サイトカインのすべて. 医歯薬出版, 2020. P35-39

小林製薬研究員からひとこと

近年、免疫の仕組みを利用した「がん免疫療法」が、がん治療の選択肢のひとつとなっています。小林製薬が長年に渡り研究してきたシイタケ菌糸体抽出物では、東京女子医科大学関連医院を中心とする研究グループで、免疫細胞療法を施行する被検者に対するシイタケ菌糸体抽出物の有効性を調べた研究において、がん患者がシイタケ菌糸体抽出物を摂取することで、IFN-γ/IL-10の産生比が上昇し、免疫の攻撃と抑制のバランスが改善されるという結果が示されています。