マクロファージとは
免疫系を担う白血球の一種で、全身を動き回り、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体や死んだ細胞の破片を飲み込み、分解する。こうした能力から「食細胞」とも呼ばれる。また、樹状細胞などと同様、T細胞に異物の情報を伝達する抗原提示細胞としての働きも持つ。
マクロファージの主な働き
- 病原体の摂取と破壊:バクテリアやウイルスなどの病原体を飲み込み、分解する。
- 死んだ細胞の除去:組織の損傷や自然死によって生じる死んだ細胞を除去し、組織の健康を維持する。
- 免疫反応(免疫応答)の調節:他の免疫細胞にシグナルを送り、炎症反応や免疫反応(免疫応答)を促す。
マクロファージのがん細胞への働きについて
活性化したマクロファージは、がん細胞を貪食し、サイトカインやケモカインを産生するといった抗腫瘍に関わる働きをする(M1型)。一方で、がん組織内に存在するマクロファージは、通常とは異なる活性化状態にあることから腫瘍関連マクロファージ(TAM:tumor-associated macrophage)と呼ばれる。TAMは抗腫瘍とは反対に、がんに栄養を送る血管を新生する因子やがんを増殖する因子を産生し、免疫を抑制するなど、がんの増殖や浸潤を促進する働きをすることが知られている(M2型)。腫瘍関連マクロファージ(TAM)のがん組織への浸潤度が高いほど、がんの悪性度が高いことが報告されている。
【図】がん細胞は制御性T細胞を利用して免疫の攻撃を回避する