研究報告

癌免疫細胞療法実施患者におけるシイタケ菌糸体エキスのQOL、免疫機能の改善作用の検証

実施機関
ビオセラクリニック(東京女子医科大学関連医院)
論文発表先
Altern Ther Health Med. 2016 Jul;22(4):36-42.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27548491/

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

概要

東京女子医科大学関連医院を中心とする研究グループで、免疫細胞療法を施行する胆管癌2名、肺癌2名、直腸癌2名、膵臓癌2名、胃癌1名、乳癌1名に対し、シイタケ菌糸体エキス摂取による、QOLと免疫機能へ及ぼす影響を検証する単独施設単群オープン試験が実施されました。この試験では、免疫細胞療法+シイタケ菌糸体エキス摂取時に、QOLと免疫機能が改善する有用性が確認されました。

 

シイタケ菌糸体エキス(LEM)は、化学療法との併用で、患者のQOLと免疫機能を改善する作用が報告されてきた。しかしながら、癌免疫療法を施行されている患者における作用については検証が乏しかった。

そこで、本研究では、癌免疫細胞療法施行患者における、QOLへの作用及び免疫応答について評価を行った。

方法

項目内容
方法単独施設単群オープン試験
対象免疫細胞療法を施行する胆管癌2名、肺癌2名、直腸癌2名、膵臓癌2名、胃癌1名、乳癌1名
試験品試験品:顆粒(シイタケ菌糸体エキス600mg/ 袋)
用法:1 回1袋 粒×3 回/day、シイタケ菌糸体群はシイタケ菌糸体エキスとして1 日1,800mg 摂取
評価項目QOL、免疫機能

 

研究結果

シイタケ菌糸体エキスを併用した免疫細胞療法2コース目の前後で、QOLトータルスコアが改善した。また、免疫指標の血中IFNγ産生能が増加傾向にあった。

 

※インターフェロンガンマ(IFNγ)は、腫瘍細胞や病原体などの異物の侵入に反応して細胞が分泌するサイトカインの1種。
腫瘍細胞に対してはマクロファージ(自然免疫の1種)の活性化因子として働き、抗腫瘍効果をもたらす。

※インターロイキン10はサイトカインの一種。特徴的な働きとして免疫の働きを抑制する。

※IFNγ/IL10の産生比は、「免疫の攻撃」と「免疫の抑制」のバランスを示す。
バランスが良いほど、腫瘍細胞を攻撃しやすい状態になっていると考えられる。

今後の期待

本研究によって、シイタケ菌糸体エキスと免疫細胞療法との併用は、QOLを改善することが示唆された。今後、より規模の大きい試験での検証が必要である。

利害関係

本研究は、小林製薬株式会社の資金提供により実施されました。

 

備考

シイタケ菌糸体

シイタケ菌糸体は、私たちがふだん食べているシイタケの笠の部分(子実体)とは別のもので、糸状の形をしていることから菌糸体と呼ばれます。

 

研究素材の紹介