研究用語辞典

ヘルパーT細胞・CD4⁺T細胞(Th1、Th2)

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ヘルパーT細胞とは

獲得免疫システムを担うT細胞は、大きくCTL(細胞傷害性T細胞)、ヘルパーT細胞(Th細胞)の2種類に大別される。中でも細胞表面にCD4という分子を持つヘルパーT細胞は、CTL(細胞傷害性T細胞)の活性化や、B細胞による抗体産生を促進する働きを有している。ヘルパーT細胞は、産生するサイトカインにより主にTh1とTh2に分類される。

Th1細胞

主にIFN-γ(インターフェロンガンマ)やIL-2(インターロイキン2)といったサイトカインを産生し、細胞性免疫応答(免疫細胞の働きによって、感染した細胞やがん細胞を排除する仕組み)の強化に寄与するヘルパーT細胞。マクロファージを活性化して感染細胞の破壊を助けたり、ウイルス感染細胞やがん細胞に対するCTL(細胞傷害性T細胞)を活性化したりする。

Th2細胞

IL-4、IL-5、IL-6やIL-10などのサイトカインを産生し、液性免疫応答(B細胞が作る抗体によって病原体を中和するなどの仕組み)の強化に寄与するヘルパーT細胞。B細胞を刺激して抗体、特にIgE(免疫グロブリンの一種)を産生させる。寄生虫の排除に重要な役割を果たすが、アレルギー反応や喘息の原因になることがある。

【図】ヘルパーT細胞の働き

ヘルパーT細胞の働き
参考文献
  • 西川博嘉. もっとよく分かる!腫瘍免疫学. 羊土社, 2023. P25-26
  • 北野滋久. 必修!腫瘍免疫学. 金原出版, 2022. P22-23

小林製薬研究員からひとこと

がん細胞は、さまざまな細胞やサイトカインの働きを利用して、自身の身を守る免疫抑制環境を作ることが知られており、免疫のバランスが抑制方向に傾いていることが少なくありません。そこで免疫バランスを改善して、免疫ががん細胞を攻撃できる環境を作ることが、治療戦略として重要と考えられます。小林製薬では長年に渡りシイタケ菌糸体抽出物の研究を続けて参りましたが、がん再発予防ステージの患者に対するシイタケ菌糸体抽出物の有効性を調べた研究では、がん患者がシイタケ菌糸体抽出物を摂取することで、ヘルパーT細胞の1種であるTh2細胞系のサイトカイン産生量や制御性T細胞(免疫抑制細胞)の変動に及ぼす影響ついての検討を行っています。