NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは
末梢血中に存在するリンパ球の一種で、自然免疫を担う細胞のひとつ。ナチュラルキラー(生まれつきの殺し屋)の名前のとおり、体内を巡回しながら病原体に感染した細胞やがん化した細胞などの異物をいち早く認識し、それらの細胞を傷害する活性を示す特徴を持つ。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)のがん細胞への働きについて
NK細胞は、がん細胞を排除するために重要なエフェクター細胞であることが確認されている。がん細胞は、免疫系から逃れるために、しばしば自身の表面上のMHCクラスI分子の発現を低下させる。NK細胞はこのような変化を感知してがんを標的として活性化する。がん細胞を認識したNK細胞は、グランザイムやパーフォリンという細胞を傷害する顆粒物質を放出したり、細胞死(アポトーシス)を促す物質を発現するなどして、直接的にがん細胞を攻撃し、排除する。さらには、NK細胞自身が直接がん細胞を攻撃するだけでなく、他の免疫細胞の抗がん作用を助け、好中球の抑制により腫瘍に栄養を送る新生血管を制御する可能性も報告されている。こうしたNK細胞の抗腫瘍作用に着目し、NK細胞を用いたがん免疫療法の開発なども試みられている。
【図】がん免疫応答におけるNK細胞の役割