α-グルカン(アルファグルカン)とは
α-グルカンは、グルコース(ブドウ糖)が多数結合して連なった多糖類(グルカン・glucan)の一種。グルカンはその連なり方、化学的構造からα型(α-グルカン)とβ型(β-グルカン)の2種類に分類され、α-グルカンもβ-グルカンと同様に植物など天然に多く存在する。代表的なα-グルカンはアミロース(デンプン)やグリコーゲンであり、米やうるち米、ジャガイモなどに多く含まれるほか、真菌(酵母、キノコなどの菌類など)の細胞壁内にも存在する。人間の体内に摂取されたα-グルカンは、消化系の酵素(唾液アミラーゼ,膵液アミラーゼなど)によってグルコース(ぶどう糖)やマルトース(麦芽糖)などに分解され、消化吸収されたグルコースは生体の主要なエネルギー源となる。
α-グルカンの免疫・がん領域の作用・研究について
免疫調整作用については一般的にβ-グルカンが知られているが、近年ではα-グルカンもβ-グルカンと同様に免疫系を刺激できることが分かってきている。
(1→4)-α- d-グルカンは、免疫担当細胞であるマクロファージに働きかけてTNF-α(腫瘍壊死因子-α)、一酸化窒素 (NO)、およびプロスタグランジン E2 (PGE2) の産生を促進させたり、リンパ球および他の免疫担当細胞による炎症促進性サイトカインおよび抗炎症性サイトカイン (IL-1β、IL-6、IL-8、IL-12、IL-18、または IFN-γなど)の産生を誘導したりする。また、α-グルカンはMHCおよび共刺激分子のアップレギュレーションや、抗原提示の増強、食細胞運動性の活性化などを促進し、粘膜ワクチン接種の効果を助けるアジュバントとして有用な有望な化合物であると考えられている。