素材研究

紅麹①-1紅麹:ヒトにおける悪玉コレステロール(LDL-C)低減作用

紅麹

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

紅麹①:血中脂質・コレステロールに関する研究

1.ヒトにおける悪玉コレステロール(LDL-C)
低減作用

【研究1】悪玉コレステロール(LDL-C)のコメバイオ紅麹®摂取による抑制効果

概要

高コレステロール血症,特にLDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)の高値は,動脈硬化性疾患の主要危険因子として重要視されており、LDL-C値が低いほど冠動脈性心疾患発症リスクが低いことが示されています。
一方、伝統的な発酵食品に使用される紅麹にはコレステロール低下作用があることが知られています。しかし、紅麹の国際的品質基準は存在せず、特にシトリニンが原因と疑われる健康被害をはじめ、安全性が懸念されています。そこで、我々はM. pilosus からシトリニンを産生しない安全性の高い株を選定し、これで米を基質として固体培養法を用いて発酵させた紅麹「コメバイオ紅麹®」を開発しました。本研究では高LDL-C血症および境界域高LDL-C血症※の健常者に対する、コメバイオ紅麹®によるLDL-C低下効果およびその安全性ついて検証しました。
境界域高LDL-C血症に該当する健常成人男女を対象に、紅麹100mgを含む食品、またはプラセボを摂取させたところ、紅麹摂取による有意なLDL-C低下効果が摂取1週目から確認されました。同様に、総コレステロール、non-LDLコレステロールも有意に低下しました。

※ 日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年版)において、LDL-C≧140mg/dLが高LDL-C血症、LDL-C 120~139mg/dLは境界域高LDL-C血症と定義されている。

試験方法

項目内容
対象LDL-C前値が120~139mg/dL(境界域高LDL-C血症)の健常者 計60名
試験品①紅麹100mgを含む食品、②プラセボ
①には固体培養法により発酵させたコメバイオ紅麹®(米紅麹ポリケチドを2㎎含有)を使用
方法【二重盲検ランダム化比較試験】
対象者を無作為に2群に振り分け、それぞれに紅麹100㎎を含む食品、またはプラセボを12週間摂取させ、摂取後のLDL-C値を比較
試験期間試験品摂取期間12週間、摂取中止後(後観察)4週間の計16週間
評価項目主要評価項目:LDL-C値
副次評価項目:総コレステロール、non-HDLコレステロール等

結果

紅麹の摂取により、摂取1、2、4、8、12週目において、LDL-C値の有意な低下が確認されました。同様に、総コレステロール、non-HDLコレステロールについても摂取1、2、4、8、12週目において有意な低値を示しました。
また有害事象に関しては、プラセボ群と比較して紅麹摂取群で安全性に問題は見られませんでした。

考察

紅麹のLDL-C低下作用を保健目的で利用する場合、高LDL-C血症の診断基準に該当しない健常人における効果と安全性を確認することが重要であることから、本研究では試験食摂取前のLDL-Cの値が境界域高LDL-C血症に該当する者(LDL-Cが高めであるが、高LDL-C血症とは診断されない健常人)を対象としました。その結果、コメバイオ紅麹®100mg(米紅麹ポリケチド2 mg含有)を継続摂取することで、摂取1 週目にはLDL コレステロールが低下し、それに伴い総コレステロール、non–HDL コレステロールが低下すること、および摂取を継続する限りその効果も持続することが明らかになりました。また、摂取終了後4 週目には効果がなくなることが示されました。

なお、12週間の継続摂取により、研究食品と関連のある有害事象が発生しなかったことから、コメバイオ紅麹®を含む食品を長期間連続摂取しても安全性に問題はないものと考えられます。

発表先

【論文(査読アリ)報告】森 健太郎、小林 正和、梶田 恵介、比嘉 悠貴、島津真理子、深見 裕之、水山 和之 (2023). 米紅麹配合食品によるコレステロール関連指標改善効果および安全性の評価 ―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―. Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療), 51(8), 1159-1171.

学術情報

①血中脂質・コレステロールに関する研究

②薬理と成分に関する研究

③安全性に関する研究

④美味しさに関する研究

用語の解説:
  1. 紅麹

研究素材の紹介