素材研究

紅麹①-2紅麹:動脈硬化指数(L/H比)改善作用

紅麹

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

紅麹①:血中脂質・コレステロールに関する研究

2.動脈硬化指数(L/H比)改善作用

【研究2】動脈硬化指数(L/H比)のコメバイオ紅麹®摂取による改善作用

概要

 高コレステロール血症、特にLDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)の値は動脈硬化性疾患の主な危険因子として重視されています。一方、 HDL-C(いわゆる善玉コレステロール)の低値も重要な危険因子であるとして、2017年の動脈硬化性疾患予防ガイドラインにおいてHDL-Cの基準値が新たに設定されました。動脈硬化の進展の予防、改善のためにはLDL-CとHDL-C両者の管理が重要であり、このバランスを評価する指標として、L/H比が注目されています(1)。近年の研究で、L/H比と平均プラーク占拠率には正の相関があり(2) 、動脈硬化性疾患とも相関があることが報告されました(3-6)。このことから、L/H比は動脈硬化指数として、動脈硬化進展や関連疾患の有用な予測指標になり得ると言われています。(1,6,7)
一方、伝統的な発酵食品に使用される紅麹にコレステロール低下作用があることが知られていますが、紅麹が動脈硬化指数(L/H比など)に与える影響についてはよく分かっていません。
本研究では、境界域高LDL-C血症※の健常者に対する、紅麹によるL/H比の改善効果について検討しました。
境界域高LDL-C血症※に該当する成人男女を対象に、コメバイオ紅麹®100mgを含む食品、またはプラセボを摂取させたところ、紅麹摂取による有意なL/H比の低下効果が確認されました。

※日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年版)において、LDL-C≧140mg/dLが高LDL-C血症、LDL-C 120~139mg/dLは境界域LDL-C血症と定義されている。

脂質異常症診断基準(LDL-コレステロール)
140mg/dL以上
高LDLコレステロール血症
将来、動脈硬化性疾患、特に冠動脈疾患の発症を促進させる危険性の高い病的脂質レベル

120~139mg/dL
境界域高LDLコレステロール血症
健常域ではあるが、高リスク病態の合併や、喫煙、高血圧、低HDL-Cなどの危険因子の状態次第では動脈硬化性疾患の発症リスクが高い脂質レベル

L/H比とは?

善玉コレステロール(HDL-C)と悪玉コレステロール(LDL-C)の比率を示したもので、LDLコレステロール値をHDLコレステロール値によって除した計算式によって求められます。

L/H比は、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017において、基準値の設定こそなされていないものの、動脈硬化性疾患の考慮すべき危険因子のひとつに挙げられています(8)。 L/H比は、プラーク(脂肪などからなる血管内の沈着物)の占拠率と正の相関があり(2) 、動脈硬化性疾患とも相関があることから(3-6) 、動脈硬化指数と呼ばれることもあり、数値が大きいほど動脈硬化が進みやすく、 小さいほど動脈硬化が進みにくいと考えられています(1,6,7)。

(1)倉林正彦 (2007). 動脈硬化の進展抑制・退縮を目指した治療戦略.Pharma Medica 25, 77-80.
(2)野池博文ら (2005). 正常冠動脈造影症例における血管内エコー所見と冠動脈危険因子の関係. Journal of Cardiology (Journal of Cardiology), 45(1), 1-10.
(3)Packard CJ (2005). Plasma lipoproteins and apolipoproteins as predictors of cardiovascular risk and treatment benefit in the PROspective Study of Pravastatin in the Elderly at Risk (PROSPER). Circulation, 112(20), 3058-65.
(4)Fernandez ML (2008). The LDL to HDL chorlesterol ratio as a valuable tool to evaluate coronary heart disease risk. Journal of the American College of Nutrition, 27(1), 1-5.
(5)桝田出ら (2010). 動脈硬化性疾患発症予防におけるLDL/HDLコレステロール比の臨床的意義と管理目標値の検討. 医学と薬学, 64(3), 369-377.
(6)崎元眞知子ら (2012). 動脈硬化指数としてのLDL-C/HDL-C比の基準範囲設定の試み. 医学検査, 61(4), 753-759.
(7)山下尚子ら (2015). LH比の循環器疾患発症との関連. 日本未病システム学会雑誌, 21(1), 102-105.
(8)日本動脈硬化学会 (2022). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年度版
(9)日本動脈硬化学会 (2018). 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2018年版
(10)庄司哲雄ら (2018). 紅麹のLDL-C低下効果:境界線域高LDL-C血症の健常人を含むランダム化比較試験の層別解析. アンチ・​エイジング医学 日本抗加齢医学会雑誌, 14(4), 89-97.

試験方法

項目内容
対象LDL-C前値が120~139mg/dL(境界域高LDL-C血症)の健常者 計60名
試験品①紅麹100mgを含む食品、②プラセボ
①には固体培養法により発酵させたコメバイオ紅麹®(米紅麹ポリケチドを2㎎含有)を使用
方法【二重盲検ランダム化比較試験】
対象者を無作為に2群に振り分け、それぞれに紅麹100㎎を含む食品、またはプラセボを12週間摂取させ、摂取後のL/H値を比較
試験期間試験品摂取期間12週間、摂取中止後(後観察)4週間の計16週間
評価項目L/H比

結果

コメバイオ紅麹®の摂取により、摂取1、2、4、8、12週目において、L/H比の有意な低下が確認されました。

考察

本研究では、 LDL-C 前値が120~139mg/dL の境界域高LDL-C 血症を呈する健常人において、コメバイオ紅麹®100mgを12週間摂取することで、L/H比を改善することが確認できました。また、その効果は摂取1週目から現れ、12週間の摂取期間中継続しました。このような研究は動脈硬化性疾患の発生について評価するものではなく、紅麹摂取で動脈硬化性疾患がどの程度予防できるかについては別途研究を実施して確認する必要はありますが、健常人における動脈硬化進展予防など、アンチエイジングの一環として紅麹が役立つことが期待されています(10)。

発表先

【論文(査読アリ)報告】森 健太郎、小林 正和、梶田 恵介、比嘉 悠貴、島津 真理子、深見 裕之、水山 和之 (2023). 米紅麹配合食品によるコレステロール関連指標改善効果および安全性の評価 ―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―. Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療), 51(8), 1159-1171.

学術情報

①血中脂質・コレステロールに関する研究

②薬理と成分に関する研究

③安全性に関する研究

④美味しさに関する研究

研究素材の紹介