素材研究

紅麹④-2

紅麹

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

紅麹④:美味しさに関する研究

2.「紅塩麴」が調理食品に及ぼす効果

【研究2】紅麹を混合醸造した“紅塩麹”が調理食品に及ぼす効果の解明

概要

“紅麹”は米などの穀類にモナスカス属糸状菌を繁殖させた鮮紅色の麹で、味噌、醤油、食酢、酒類等の醸造食品をはじめ、様々な食品用途に使われています。本研究は、紅麹が食品のテクスチャー(食感)や味の特性にどのような影響を与えるかを明らかにするため、 “紅麹”と“黄麹”で混合醸造した“紅塩麹”と、“黄麹”のみで作製した従来の“塩麹”とで動物肉や魚肉の食感、味の特徴に及ぼす効果を検証しました。その結果、“紅塩麴”は“塩麴”以上に動物肉を柔らかくし、旨味を強化する作用があることが明らかになりました。また、塩味や旨味を強化する作用により、減塩にも有用であることが示されました。

試験方法

紅塩麴は、一般的な塩麴のレシピに則り、麹100g(紅麹:黄麹=1:1)、食塩25g(12.5%)水75mlを混ぜ合わせたものを30℃で20日間発酵させて作りました。各種動物肉(牛、鶏、豚)を“紅塩麹”、対照として塩水、“塩麹”(いずれも塩分濃度12.5%)に24時間浸漬した後、肉の中心温度が80℃となるよう湯煎により加熱したものをサンプルに供しました。魚肉(タラ)については浸漬時間を96時間とし、表裏を5分ずつ焼いたものを評価サンプルとしました。
各サンプルについて、レオメーターによる硬度の測定、官能評価および味覚センサーによる味の測定を行いました。動物肉の官能評価は、加熱後さらに表面を2分ずつ焼いたもので行いました。
さらに、塩分濃度9%の減塩紅塩麹を作成し、同様に牛肉を処理。塩分濃度12.5%の塩麴で処理したものと塩味を比較しました。

浸漬→加熱(茹で、焼き)→評価(味測定、硬度測定、官能評価)

結果

浸漬後牛肉の食感評価においては、“塩麹”、“紅塩麹”、いずれも塩水に比べて有意に硬度が低下し、“紅塩麹”が最も軟らかくなっていました。焼き牛肉の官能評価においては、“紅塩麹は“塩麹”に比べ旨味が強く識別され、鶏肉、豚肉を浸漬した場合でも同様の結果でした。一方、鱈を96時間浸漬後の食感の官能評価では、身のハリが強くなっていました。
また、動物肉、魚肉のいずれにおいても、紅塩麴で処理したものは塩味が強く識別され、塩分12%の“塩麹”と塩分9%の“減塩紅塩麹”にそれぞれ浸漬させた牛肉の比較では、塩味の違いが識別されませんでした。

食感 紅塩麹が肉の硬さに与える影響
食感 紅塩麹が肉の食感に与える影響(官能評価)
味覚 味覚センサーによる味の特徴
塩麹 紅塩麹
先味(口に含んだ瞬間の味)
後味(口に残る味の余韻)
食感 塩麹の減塩効果
同一塩分での比較(牛もも肉)
減塩品との比較(牛もも肉)

考察

“紅塩麹”は動物肉の軟化効果を有し、肉軟化に伴う肉汁の増加が旨味の強さに寄与していることが考えられました。また、旨味、酸味、(香辛料様の)辛味、その他紅麹の雑味が官能での塩味の強さに関与していると考えられます。
“紅麹”は種々の健康効果だけではなく、旨味の強化、食感の向上、減塩効果など、食品の美味しさにも寄与できることが示されました。

発表先

【学会報告, 口頭】深見 裕之, 浅野 幸一, 尾關 佑樹, 紅麹醸造調味料(紅塩麴)、紅麹米(粉末)が食品のテクスチャ、味特性に及ぼす影響 ~動物肉・魚肉の質、呈味性の改善効果, 第73回 日本栄養・食糧学会大会, 2019.05.19

学術情報

①血中脂質・コレステロールに関する研究

②薬理と成分に関する研究

③安全性に関する研究

④美味しさに関する研究

用語の解説:
  1. 紅麹

研究素材の紹介