紅麹③:安全性に関する研究
2.ヒトにおける安全性確認試験
【研究2】紅麹配合食品の健常成人における安全性試験
概要
紅麹は血清LDLコレステロール低下作用などを有することから機能性食品の素材として期待されています。発酵食品については製造方法(菌種、菌株、培養方法など)により、有効性及び安全性に関わる代謝物の種類や量が大きく変化することが考えられることから、食品素材ごとに安全性を確認しておくことは非常に重要です。本研究では、Monascus pilosus KP1148株を用いて固体培養法によって得られた紅麹3PD-21を配合(紅麹500mg)した食品を4週間摂取した場合における安全性を評価するため、健常成人51名を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施しました。その結果、副作用は観察されず、本食品の安全性が示されました。
試験方法
項目 | 内容 |
対象 | 血清LDLコレステロール値が軽症域(140mg/dL以上159㎎/dL以下)、境界域(120㎎/dL以上139㎎/dL以下)、または適正域(120㎎/dL未満)の20〜65歳の男女 51名 |
試験品 | 紅麹カプセル(紅麹500mg含有:有効用量100㎎の5倍量)とプラセボカプセルを使用 ※試験品には、Monascus pilosus KP1148株を用いて固体培養法によって得られた紅麹3PD-21を使用した。 |
方法 | 【無作為化二重盲検並行群間比較試験】 試験群(25名)は、紅麹500mgを含有する紅麹カプセルを、対照群(26名)は、紅麹を含有しないプラセボカプセルを毎日経口摂取。それまでの食生活および運動などの日常生活を変えないように指示。 |
試験スケジュール | 試験食摂取期間 4週間 後観察期間 2週間 摂取開始日、摂取2週間後、摂取4週間後、摂取終了2週間後に検査を実施 |
評価項目 | 血液検査(総蛋白, アルブミン, ALP, AST, ALT, LDH, γ-GTP, T-Bill, CPK, 総コレステロール, LDL-C, HDL-C, TG, Na, K, Cl, Ca, P, Mg, 尿素窒素, クレアチニン, 尿酸, 血糖, HbA1c, 白血球数, 赤血球数, ヘモグロビン, ヘマトクリット, MCV, MCH, MCHC, 血小板数, 白血球分画(好中球, 好酸球, 好塩基球, 単球, リンパ球)) 尿検査(pH, 比重, Na, Cl, K, クレアチニン, 蛋白, 潜血, 糖, ウロビリノーゲン) 理学的検査(血圧(収縮期血圧, 拡張期血圧), 脈拍数, 体重, BMI) 問診 |
結果
紅麹配合食品(紅麹500mg)を4週間摂取した場合において副作用は認められませんでした。
考察
紅麹は中国の唐代から明代にかけて書かれた多くの書物に食品として利用されていたことが記載されており、また日本では「豆腐よう」として沖縄を中心に食されていることから、食経験が豊富であり、一般的にも安全性が高い食品と考えられています。そのことに加えて紅麹3P-D21配合食品は非臨床の安全性試験においても、発がん性(復帰突然変異原性試験により評価)は陰性であり、ラット単回経口投与毒性試験及びラット13週間反復経口投与毒性試験における高い安全性が確認されています。本研究で、紅麹配合食品(紅麹500mg:有効用量の5倍)を4週間摂取した場合においても副作用は認められなかったことから、本品の安全性が示されました。
発表先
【論文(査読アリ)報告】久野 智弘ら (2017). 紅麹配合食品の健常成人における安全性試験. 日本補完代替医療学会誌, 14, 67-76.
学術情報
①血中脂質・コレステロールに関する研究
②薬理と成分に関する研究
③安全性に関する研究
④美味しさに関する研究
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