素材研究

紅麹①-3

紅麹

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

紅麹①:血中脂質・コレステロールに関する研究

3.血液白濁改善・予防作用

【研究3】脂質が原因で生じる血液の白濁の改善・予防作用

概要

一般的に、高脂肪食、高コレステロール食を継続して摂取すると、血漿が白濁状態となります。この白濁は、循環器系疾患の危険因子とされ、白濁を抑えることが、循環器系疾患のリスク低減に重要であると考えられています。
紅麹がこの白濁に与える影響を検証するため、2週間の高コレステロール食負荷により血液を白濁状態にした日本白色ウサギに紅麹粉末を3週間投与したところ、血液白濁低減および総コレステロールの減少が確認され、紅麹による血液白濁の改善効果が示されました。
また、健康な日本白色ウサギに、高コレステロール負荷食の投与開始と同時に紅麹の投与を開始したところ、紅麹投与群では、血液の白濁がほとんど起こらず、紅麹による血液白濁の予防効果が確認されました。

試験方法①:改善効果の検証

試験の流れ
紅麹非投与群:0.25%コレステロール負荷
紅麹投与群:0.25%コレステロール負荷 紅麹投与
項目内容
対象日本白色ウサギ雄2か月齢(n=10)
試験品紅麹粉末:3P-D20(小林製薬バリューサポート株式会社製紅麹)
方法0.25%コレステロール負荷食を2週間与え、血液を白濁状態にし、コレステロール負荷ウサギを準備。「紅麹非投与群(1群)」と「紅麹投与群(2群)に割付け、2群には“紅麹粉末”を3週間、強制経口投与。0、2、3週目に両群より血液を採取し(採血前12時間は絶食とする)、血漿の生化学検査、濁度計を用いた透過率(OD660)による白濁状態の測定を実施。
試験スケジュール負荷食投与期間2週間、負荷食+紅麹投与期間3週間の合計5週間
飼育個飼い
餌・水餌:制限摂取、水:自由摂取
測定項目体重、血液(T-CHO)、血漿透過率

結果①

“紅麹”投与3週間において「紅麹非投与群(1群)」と「紅麹投与群(2群)」で目視により血漿の白濁に差が見られ、それぞれの透過率(OD660)を測定した結果、統計的な有意差が認められました。
また、血漿の生化学的検査では、「紅麹投与群(2群)」に統計的な有意差をもってT-CHO(総コレステロール)の減少が認められました。

血漿の白濁改善効果(3週間後)
紅麹非投与群、紅麹投与群
血中総コレステロールの変化

試験方法②:予防効果の検証

試験の流れ
普通食群:普通食
対象群:普通食 0.25%コレステロール負荷
紅麹投与群:普通食 0.25%コレステロール負荷 紅麹投与
項目内容
対象日本白色ウサギ雄14週齢(普通食群 n=2、コレステロール負荷食群 各n=7)
試験品紅麹粉末:3P-D20(小林製薬バリューサポート株式会社製紅麹)
方法普通食にて3日間順化を行ったウサギを準備。「普通食群(1群)」と「コレステロール負荷食群(2群、3群)」に割付け、3群には“紅麹粉末”を500㎎/kgとなるよう12週間、強制経口投与を行った。0、4、8、12週目に各群より血液を採取し(採血前12時間は絶食とする)、血漿の目視観察および生化学検査を行った。
試験スケジュール12週間
飼育個飼い
餌・水餌:制限給餌、水:自由摂取
測定項目血液(脂質代謝成分分析)、血漿外観(目視)

結果②

一方、コレステロール負荷開始と同時に紅麹の投与を開始した場合、紅麹非投与群においては、高コレステロール負荷食により血漿の白濁が見られましたが、紅麹投与群においてはほとんど白濁が見られませんでした。また、紅麹投与群では、非投与群で見られたカイロミクロンコレステロール及びVLDLコレステロールの上昇が、有意に抑制されました。

血漿の白濁予防効果(目視)
高コレステロール食により白濁
高コレステロール食でも白濁せず
脂質代謝成分の変化

考察

紅麹は、白濁の主要成分であるカイロミクロンやVLDLを減少させることにより、血液の白濁を減少させている可能性が考えられます。
紅麹は、血液の白濁を抑制、あるいは減少させることで、循環器系疾患のリスク低減に寄与することが示唆されました。

発表先

【学会発表, 口頭】浅野幸一, 高コレステロール負過食を与えた日本白色ウサギの血液乳びに対する紅麹投与の影響, 第4回 発酵と酵素の機能性食品研究会, 2019/6/29.
浅野幸一,紅麹のウサギ血漿粘度改善効果, 第5回 発酵と酵素の機能性食品研究会, 2021/7/4.
【論文(査読アリ)報告】H. Fukami et al. (2021). A Review of Red Yeast Rice, a Traditional Fermented Food in Japan and East Asia: its Characteristic Ingredients and Application in the Maintenance and Improvement of Health in Lipid Metabolism and the Circulatory System. Molecules, 26(6), 1619.

学術情報

①血中脂質・コレステロールに関する研究

②薬理と成分に関する研究

③安全性に関する研究

④美味しさに関する研究

用語の解説:
  1. 紅麹

研究素材の紹介