研究用語辞典

BRM(生物応答調整物質)製剤(レンチナンなど)

本サイトで掲載している情報は、一般的な素材にも含まれる成分に関する学術研究成果です。特定の製品・食品の効果を保証するものではありません。本研究成果も限られた条件下での成果であり、特定の製品・食品を摂っても、同じ効果が得られるというものではありません。

BRM(生物応答調整物質)とは

BRM(Biological Response Modifiers;生物反応修飾物質)は、免疫や身体の調節機能に働きかけて機能を向上させる物質の総称。こうした物質を利用したBRM製剤は免疫調整剤などと呼ばれ、がん細胞を直接攻撃する抗がん剤等とは異なり、体本来の機能を高めることを目的としている。がんの増悪や退縮には、がんと宿主免疫のバランスを含め、生体内のさまざまな細胞性ならびに液性因子が複雑に関与していることが分かっており、BRM製剤はこうした生物学的反応に有利に働きかけ、がんと宿主間の関係を変えて治療効果をもたらすものである。BRM製剤には、キノコ製剤(レンチナンなど)などの免疫賦活剤、インターフェロンなどのサイトカインなどがある。また、BCGは弱毒化した結核菌であるが、膀胱がんに対し局所注入療法として用いられることがある。

レンチナンとは

レンチナンとはシイタケの子実体より抽出して得た多糖体(βグルカン)を精製したBRM製剤のひとつ。臨床試験などを経て「手術不能または再発胃がん患者におけるテガフール経口投与との併用による生存期間の延長」を効能効果とする注射剤として、1985年に厚生省(現厚生労働省)の承認を得ている。レンチナンは腫瘍免疫に関わる免疫細胞であるマクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞、T細胞などの働きを活性化させる作用がある。臨床試験での無作為比較試験においては、手術不能又は再発の胃がん・大腸がん患者に対して化学療法にBRM製剤であるレンチナンを追加することで、生存期間の延長および抗腫瘍増強の効果が得られている。

※レンチナンは2018年3月に販売を終了。

小林製薬研究員からひとこと

レンチナン(シイタケの子実体より抽出した多糖類)などのBRM製剤では、身体の免疫機能に働きかけて機能を向上させる作用が認められています。小林製薬では長年に渡りシイタケ菌糸体抽出物の研究を続けて参りましたが、悪性腫瘍(がん)治療後の経過観察者を対象に、免疫機能改善効果の可能性が指摘される担子菌類製剤(冬虫夏草菌糸体、メシマコブ子実体、鹿角霊芝子実体、シイタケ菌糸体)の効果を調べた研究では、がんの再発予防ステージの患者さんがシイタケ菌糸体抽出物を摂取することでIFN-γ/IL-10の産生比が上昇し、免疫の攻撃と抑制のバランスが改善されたという結果が示されています。また別の、シイタケ菌糸体抽出物の有効性を調べる多施設共同研究においても患者QOLの改善効果が確認されています。